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@cubid_10411 が書いたなんかのレビュー

Ruiner review

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「暴力のダンス」はぴったりの表現

ポーランド初のインディー・トップダウンシューター,「RUINER」については記憶が新しいうちに書き留めるべきだろう.これはダンスクラブであり,電子ドラッグだ

 

圧倒的にハイスピードなバトル

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トップダウンシューターという特性から,「RUINER」は「ホットライン・マイアミ」などと比較される.しかし実際のところ,似ているとすれば早いゲームスピードと一瞬の判断ミスが命取りになる見下ろし型アクション死にゲー「Hyper Light Drifter」が感覚としては近く感じた.
プレイヤーは銃をぶっ放し,鉄パイプを振り回して殺戮に励むことになるが,驚くほど多彩な選択肢が用意され,その全てを駆使しなければならない.ゲームプレイで最も重要なのはダッシュの存在で,高速でステップを刻むことができる.このダッシュはボタンを長押しすることで時を遅くし,ダッシュする地点を連続的に指定することで高速移動も可能になる.ダッシュが銃弾の回避から弾薬の回収し,攻撃につなげるまで,あらゆる場面で重要なアクションとなり,結果的に,尋常じゃなくゲームスピードが速くなりつつも,プレイヤーを常に思考させ,多様な選択肢を提供する完璧なバトルアクションが完成した.ダッシュを中心に,多彩な遠距離武器と高火力の近接武器,それにバリアやグレネードといったアビリティを駆使して敵を殺戮していくのは正直いって快感だが.敵はプレイヤーと同等の,いやそれ以上の火力と物量で殺しにくる.特にボスキャラクターはとても強力で,何度も死にながら攻略法を探ることになる.たった一体のキャラクターに苦戦させられることもあれば,永遠とも思えるほどの波状攻撃に耐えなければいけない場面もある.心配することはない.リトライには二秒もかからないため,ストレスは一切ない.全てのバトルフィールドは狭く,障害物もなく,敵は間髪入れず撃ってくる.逃げも隠れもできないため,プレイヤーは「殺される前に殺す」を地でいく暴力的なカタルシスに身を投じる必要がある.正直いって最高だ.

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類い稀なビジュアルコンセプト

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昨今のインディーゲーム市場ではサイバーパンクの世界観は非常に人気があり,「Va-11 Hall-A」から「Observer」,「The last night」とジャンルも様々だ.この「RUINER」も特にビジュアル面において,サイバーパンクの世界観を利用している.プレイの合間には舞台であるレンゴクシティを探索するパートがあり,街の様相はまさしくサイバーパンクの王道を行っている.市民とインタラクトすることもでき,皆一様に電脳VRの話や,サイバネ技術特有の悩みをつぶやいている.だが「RUINER」のビジュアル面の魅力はサイバーパンクだけではない.「RUINER」の音とカットイン,タイポグラフィを用いた演出はゲームにおける演出技法の新たな到達点と言えるだろう.
敵のウェーブを乗り越えるたび,強敵と出会うたび,様々な場面で瞬間的な演出によって指示が出される.特徴的なタイポグラフィで「KILL BOSS」や「GET THEM PUPPY」など,ほんの一瞬,クールなイラストとともにカットインが入るのだ.ウェーブを越えればリザルト画面で「E~S+」と評価されるが,これも前述の演出と同様に挿入され,瞬間的なものだ.延々と続く暴力の合間にこのようなカットインが度々挿入されることで,サブリミナルにプレイヤーの脳裏に焼き付いていく.サイバーパンクの世界観と相まって,脳がハックされている感覚すら覚えてくるのだ.操られた殺人マシンになりきるのがこれほど楽しいゲームは他にない.

 

VERDICT 9.7