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@cubid_10411 が書いたなんかのレビュー

仁王 review

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「仁王」は,コーエーテクモゲームスによる,「ダークソウルライク」と評される戦国死にゲーだ.

 

複雑性の高い奥深いアクション

昨今の「ダークソウルライク」と呼ばれるアクションアドベンチャーにおいて,アクション,つまりエネミーとの距離感と立ち回りを重視した剣戟アクションの完成度は非常に重要だ.仁王はこのアクション部分において,とても高い完成度を誇っている.刀,二刀流,槍,大剣.鎖鎌といった多様な武器種に加え,主人公であるウィリアムは「構え」を変えることができる.上段ならば遅い攻撃スピードに対し高い威力を発揮し,下段ならばスピーディーな攻勢が繰り出せる.中段はスタンダードタイプだ.また,攻撃後にタイミングよくボタンを押すことでスタミナを回復できる「残心」によってエネミーとのバトルとても奥深いものになっている.
道中遭遇するエネミーは決して強烈に強力ではないが,ボスは死にゲーに相応しく強力で,トライ&エラーを繰り返しながら挑む必要があるだろう.

RPGではない,ハックアンドスラッシュ

「ダークソウルライク」と評されるのは語弊があるかもしれない.というのも,このゲームはRPGではない.主人公は固定であるし,集めたアムリタ(これはソウルに当たる)を使ってレベルアップする要素もあるが,これは単にレベルアップの感じが強く,独自のビルドを構築する楽しさはない.ウィリアムは探索の末新たな武器に持ち替え,またそれを強化しながら冒険に挑むが,このゲームにユニークな武器は存在しない.同じ武器をたくさん手に入れることになるが,武器や防具にもレベルが存在し,武器同士の合成でレベルアップしたりすることで強化できる.このようなシステム体系はRPGというより,ハックアンドスラッシュのそれに近い.このシステムにも独自の楽しさがあるものの,ダークソウルのような武器や防具などのアイテムベースで語られるストーリーや,特定の武器への愛着もなくなる.それを求めていたらがっかりするかもしれない.

ぬぐいきれない単調さ

仁王における唯一の欠点は,決してぬぐいきれない大きな欠点だ.
レベルデザインはどのマップも代わり映えしなく,同じような風景に見えるのに加え,小さな小部屋と廊下を組み合わせたような構造の多さが目立つ.長い距離を探索した末にスタート地点近くにショートカットが開くような仕組みが多く,工夫が見られるものの,前述の単純な構造と合わせて予想がつきやすい.
エネミーについても種類が少なく,あらゆるマップで「お馴染みの顔」を見ることになる.これにより探索の緊張感が薄れ,未開の地を探索するような感覚は希薄になる.どのマップであれ,同じような敵が同じようなマップで行く手を阻んでいる.
また,ボスキャラクターに魅力がないのはこの手のゲームでは致命的かもしれない.ボスキャラクターへの不満を長々と書くこともできるが,それは一言にまとめれば「キャラデザがダサい」で済んでしまうだろう.

 

もし読者がいるならば、このレビューが不当に辛口だと思うだろうか?元祖「ソウル」のファンがそのコピーゲームをこきおろすための記事だと思うかもしれない。ただし、仮にそうだったとしても、これは僕のブログだし、僕の個人的な感想なので問題ないことは確かだ。少なくとも「仁王」は非常にチャレンジングなビジュアルとシステムを採用し、「ソウル」ファンにも、あるいは高難易度アクションが好きなユーザーの琴線にも触れるいいゲームなことは間違いない。

VERDICT 7.3