Taichi media record

@cubid_10411 が書いたなんかのレビュー

Owlboy review

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10年の歳月を得て完成した「Owlboy」は胸を熱くする王道ストーリー,美しいドットアートとシンプルで楽しい横スクロールアクションによって,極めて高いプレゼンスを提供する.

 美しい世界とストーリー

「Owlboy」の世界観の書き込みは尋常ではないだろう.アートスタイルは安心感を覚えるほど古典的なドット絵だが,その美しさと書き込みの量は素晴らしい,同時期のインディーゲームとしては「Hyper Light Drifter」はいい勝負だが,「Owlboy」は異次元だ.物語の舞台は空に浮かぶ世界で,主人公であるフクロウの少年オータスがすむ小さな村や,探索に訪れる古代遺跡,悪役となる海賊団の戦艦はフィールドとして魅力的なだけでなく,単にアートとして美しいし,細部のオブジェクトの精密さをとっても,背景の雲や岩山の美麗さをとっても文句の付け所がない.
とんでもないアート面でのプレゼンスとともに,ストーリーも王道で素晴らしいものだ.主人公のオータスは喋ることができず,頼りない落ちこぼれとして周囲に認識されている.彼の理解者は少ないが,数少ない友人たち...おたくっぽい若者や仲間はずれのロボット,クモに憧れるカミキリムシ(!)たちが手助けをしてくれ,オータスは壮大な世界を救う冒険に身を投じていくのだ.主人公の境遇から少し悲しい雰囲気が立ち込め,鮮やかで優しげな世界観とは裏腹に,主人公に降りかかる試練は相当に深刻なものだ.しかし仲間たちとの絆によって演出されるストーリーテリングは見事で,本当に胸を熱くさせられる.

喜びが連続するゲームプレイ

本作は横スクロールアクションである.オータスは翼を使って自由に飛び回ることができ,攻撃は銃を持った仲間を吊り下げ,撃ってもらうことで行う.3人の仲間はいつでも切り替えができ,様々な謎解きや多彩な敵との戦闘.プラットフォーマー的ゲームプレイを楽しむことができる.プレイの感覚としては「洞窟物語」などのメトロイドヴァニアに近く,探索と戦闘,謎解きが非常にハイレベルでまとまっており,丁寧なレベルデザインとビジュアルとあいまって90年代の和製横スクロールを遊んでる感覚になるだろう.もちろん海外製のゲームだが,作り込みの丁寧さは見事なものだ.

VERDICT 9.1