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@cubid_10411 が書いたなんかのレビュー

Dishonored 2 review

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Arkane Studiosは「Dishonored 2」における本作のステルスプレイを力強く正統進化させることに成功し、また、前作の不満点をある程度解消した。結果として、このゲームは骨太で繰り返し遊びたくなるような名作となった。

 

より深化したステルスプレイ

ここ最近Arkane Studiosによる「Dishonored」シリーズを立て続けに遊んでいるが、これはPSStoreでどちらもセールになったため、かねてから興味があったこのシリーズをいまさらながらプレイしたわけだ。「Dishonored」のレビューでこのシリーズにおけるゲームプレイの基本的なアイディアについては十分に書き留めたと思うので、今回は前作と比べてどこが良くなったのか?を重点的に書くことにする。したがって文章のボリュームはそれ相応に減ってしまうだろうが、それで十分だ。
ゲームプレイは前作の一番美味しい部分、つまり超能力と優れたレベルデザインを用いて、ステルスと殺害のアイディアを実行する楽しさ、をさらに進化させたものになっていると感じた。前作で多彩な選択肢を提供し、探索意欲を刺激し続けたレベルデザインは本作で異次元の完成度に到達している。前作以上に上方への移動が重要になっており、入れる建物の数も半端ではない。本作の「遊び場」となるマップは前作よりも密度も規模も増大し、またNPCから聞く情報や、時にはNPCと協力することで活路が開けるシチュエーションが増えることで、マップそのものの魅力も増大している。前作と同じように、プレイヤーは攻略のために自由なアプローチをとることが出来るが、少しでもマップを探索しようものならレベルデザインのクリエイティビティに心底驚かされる。特に「クロックワーク・マンション」や「アラミス・スティルトン邸」などのマップは天才的だと膝を叩きたくなる。そしてもちろん、すべてのマップはプレイヤーが天才的なアイディアで敵を料理できるようにデザインされている。
難易度は調整が加えられ、前作と比べて超能力を連発しづらくなっているなど、1段階難しく、やりごたえのあるものになっている。また、本作はゲーム開始時に主人公を2名から選ぶことができ、選んだ主人公によって使える超能力か異なる。前作と同じコルヴォを選べば前作と同じ超能力が使えるが、もう一人の主人公…エミリー・カルドウィンは新たな超能力が使える。腕を伸ばすことで遠くに移動したり、あるいはオブジェクトや敵兵を手元に引き寄せたりできる「ファーリーチ」や、周囲の敵を前後不覚にする「メズマライズ」といった、頭のひねりがいのある超能力たちがそろっている。

このゲームのように美しいゲームは存在しないと思える

前作でも油絵のようなスタイルで描かれるグラフィックは独特で気に入っていたが、本作は冗談抜きで絵画のようだ。特に本作では舞台が南国の豊かな都市「カルタナ」に移ったことで、色彩も随分と明るくなった。Arkane Studiosのプロの画家のような美的センスは一貫していて、特に細部のディティールは素晴らしい。生活感あふれる家屋には、記念日に印がついたカレンダー、インクの瓶と書きかけの手紙、脱ぎ散らかした服が目に入る。豪邸に場所を移せば、悪趣味な彫像や、美しい絵画が目に入る。前述した探索意欲を刺激するレベルデザインと相まって、隅々まで眺めていてもまったく飽きることがない。

ストーリーは随分と改善した

前作はストーリーに関しては少々淡白で、特別良いものではなかった。本作ではどうだろうか。
本作ではオープニングで国を乗っ取らんとする魔女と、その支援者が女王であるエミリーの元にやってきて、紆余曲折の後、エミリーは女王の座を追われることになる。(この際、コルヴォかエミリーどちらでプレイするか選ぶことになる。)王国の奪還のため、魔女の支援者たちがいるカルナカに向かう…といったあらすじだ。少なくとも、前作であったような演出や会話の淡白さは随分と改善され、ストーリー自体も十分に楽しめるものになった。キャラクターの表情は生き生きと動き、各地の暗殺対象となるターゲットたちも個性にあふれている。強いて言うのであれば、本作のヴィランである魔女は魅力に欠けていて、小物っぽく映ることもあるが、おおむね満足できるだろう。

 

Dishonored 2」は前作同様、クリエイティビティあふれた超能力とレベルデザインによってプレイヤーの想像力を刺激する。ストーリーとキャラクターは完璧ではないが、本作の世界観と美しいグラフィックは唯一無二なもので、プレイヤーをこの世界を隅々までみたいという気持ちにさせてくれる。ウケがよさそうな手堅いゲームが多い昨今において、本作は異彩を放った天才児のように映るだろう。

VERDICT 9.1