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@cubid_10411 が書いたなんかのレビュー

ゼルダの伝説 Breath of the wild review

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ついにゼルダの伝説BotWについて書くときがきた.先に言おう.このゲームは完璧だ.
このゲームデザインはは探索と発見の喜びに重点を置いて設計され,プレイヤーの好奇心を常に刺激し続けることに成功している.

 

ゲーム史上,最も優れたオープンワールド

このゲームでは武器が壊れる.どんなに優秀でかっこいい剣でも割と簡単に壊れてしまう.新しい武器は探索して拾うか,敵から奪うほかない.
また,このゲームでは料理する必要がある.敵の攻撃力が非常に高く,常にハートを満タンにしておく必要があり,体力回復のためには,食材を集め,料理を食べる必要がある.
このゲームにはレベルはなく,成長要素はハートの器や頑張りゲージを成長させるのみだ.これらを成長させるには,各地にある試練の祠と呼ばれる小さなダンジョンを攻略しなけばならない.それもたくさん.
このゲームでお金は非常に重要だ,装備を買ったり,不足しがちな矢を補充したり,店でしか買えない食材も多い.しかしお金を手に入れるのは難しい,フィールドを探索したり,敵を倒して得られるお金は微々たるもので,基本的に余ったアイテムや,探索の末手に入れた希少な鉱石を売却して工面する.

これらのゲーム設計によってゼルダオープンワールドが素晴らしく生きてくる.マップに点在する敵の集落を襲えば新たな武器が手に入り,売れるアイテムや使える食材が手に入るかもしれない.プレイヤーは目に入った集落に自然と,好奇心と欲求を刺激され吸い込まれていく.
各地にある試練の祠はそれ自体がワープポイントとしても機能する.そのためそれを見つけること自体も重要であるし,ダンジョン内部には解きがいのある謎と成長に必要なアイテム,レアな武器が待っている.プレイヤーは常に試練の祠探しに血眼になるのだ.
また,主人公であるリンクは卓越したクライマーであり,どんな切り立った崖や壁であっても,乗り越えて直進することができる.もちろん,頑張りゲージを消費して登るため,ゲージをマネジメントしながら壁を越えること自体がゲームプレイとして成立している.
プレイヤーは気になるものがあったらスグにそこに行ける.邪魔するものはない.

生きた世界

そして何より,このゲームは美しい.独特にトゥーンレンダリングされ,デフォルメされたキャラクターやエネミーのデザインは魅力に溢れている.水彩画のような色使いでレンダリングされたフィールドを歩けば,風が草原を揺らし,時折バッタが跳ねるのが見える.森を歩けば,木漏れ日が差し込む木の間をムササビや小鳥が飛び移る.風の音などの環境音,時間で変化する美しいライティング設計が合わさることで,雨上がりの草原などは感動を覚えるほど美しくなる.そして実際に,飛び回るバッタやカエルは捕まえることで食材になるし,森を歩けばキノコを見つけられる.特徴的な大木に登れば,卵を見つけるか,あるいはパワーアップアイテムをくれる可愛いコログがいるかもしれない.特徴的な山に登ってみたら,頂上には宝石を含んだ鉱床がたっぷりある.
各地に存在する村や街の住人もこの世界を構築するのに一役買っている.彼らはただ突っ立って話したり,歩いたりするだけではない.夜になれば眠るために家に帰るし,昼になれば畑仕事をする人もいれば,子供達と遊ぶお父さんもいる,あるいは次の宿場まで旅に出てしまうかもしれない,プレイヤーの行動と関係なく,彼らは人生を生きる.そう,ハイラルは生きているのだ.

秀逸なストーリーテリング

ゼルダシリーズはもともとゲームプレイに重心を置いており,ストーリーを重視したゲームではないだろう.しかしBotWのストーリーには高い評価をしてもいいと思う.4人の英傑と,100年前の戦争を中心とした悲劇的なストーリーは,プレイヤーに十分な感動を与えるのに成功している.何より,BotW特有の,順番が指定されない,自由にクリアまでの道筋を選べるゲームデザインにおいて,ここまで筋の通った説得力のあるストーリーを描けていることは賞賛に値する.

不満がないわけではない,4つの主要なダンジョンはどれも似たようなテイストであり,過去作のようなオリエンタルなダンジョンでなくなったのは単純に寂しいし,ロード時間の長さが気になるときもある.
しかし,このような不満が,このゲームの点数を下げる要因になるだろうか?それはノーだ.これは一種の贅沢な不満であり,この傑作に感じる小さな不満に目をつぶることはあまりに簡単だ.

VERDICT 10.0