Horizon Zero Dawn review
このゲームはゲリラゲームスが開発したオープンワールドアクションアドベンチャーであり，大自然を舞台としたゲームとしては傑作の一つだ．
最高に楽しいアクションは，このゲームの主役となる
主人公のアーロイは機械生命体を狩る熟練のハンターで，複数種類の弓と矢，スリンガーや相手を拘束するグラップリングなど，多彩な道具を駆使して機械を狩る．様々な選択肢から相手の弱点を的確に狙い，撃ち抜いていく．このような戦略を組み立てる楽しさとともに，基本のアクションも完璧だ．走り，エイムし，打つ，攻撃を回避し，ジャンプしたり．．様々な動作をする必要があり，早い戦闘スピードと相まって忙しいゲームプレイに見えるかもしれないが，心配ご無用だ．あらゆるアクションがスムーズにストレスなく動作し，プレイヤーのやりたいことが出来ない，という瞬間がない．これは昨今の複雑なアクションゲームとしては稀有な事例だ．
地平線を旅する
このゲームはソニーのファーストタイトルとして，PS4で現状できる限りの映像表現を行う一種の義務がある．そうしてできたホライゾンの世界は異常なまでに美しい．大自然を舞台としたオープンワールド空間が，単にロケーションとしても，世界観を構築する建造物を含めたアートスタイルとしても美しいのに加え，天候と時間の変化で作られるライティングの変化と物理ベースの表現が見事で，冗談抜きで実写だと思える場面さえある．デベロッパーの映像表現へのこだわりは病的なもので，このゲームの確かな魅力となっている．
ストーリーにも一定の評価があっていいだろう．このゲームの独特な世界観を構築する民族や機械たちをめぐるミステリアスな疑問に対し，スマートに，感動的なストーリーとともに答えを描いている．
なんのために狩るのか？
しかし，欠点がないわけではない．オープンワールドというフィールド設計に伴いサブクエストも存在するが，ウィッチャー３などの素晴らしいサブを用意していたゲームと比べると，だいぶ淡白で単調なものだ．
アクションの素晴らしさ，機械とのバトルの楽しさに言及したが，機会を狩る動機があまりないもの残念な点だ．装備を作成するのに機械を倒し，素材を得る必要があるが，要求が少なく，せいぜい１，２体程度倒せば済んでしまう．そもそも装備をクラフトする要素はおまけのようなもので，量的にも，あるいはユーザーの満足的にも少なすぎる．バトルはとても楽しいが，それをする理由がないのだ．自然とクエストに関わる機械しか倒さなくなり，オープンワールド上に生息する機械が邪魔に思えてくるのは残念だ．
